『クスノキの番人』想い・伝える事の大切さを教えてくれる物語

本の紹介

※ネタバレなしを心がけています。出来るだけネタバレしないよう記事を書いていますので、ご期待に沿えない場合があるかもしれませんが、ご理解いただけますと幸いです。

昔の人々は後世に多くの事を書物や映像、知識や経験を生きているのうちに形として残してきた。今を生きる私たちは、それを受け継いでいかなければならい。

前途多難な歴史やそれを乗り越えてきたノウハウ、言葉では表現しきれない深い詫びや愛情の気持ち。そんな様々な事柄を伝えていくことの大切さを教えてくれる小説でした。

結末では涙なしでは読めない感動の物語です。

内容説明(裏表紙より)

不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

そこへ弁護士が現れ、依頼人に従うなら釈放すると提案があった。

心当たりはないが話に乗り、

依頼人の待つ場所へ向かうと、伯母だという女性が待っていて玲斗に命令する。

「あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です」と・・・。

そのクスノキには不思議な言伝えがあった。

主な登場人物

直井 玲斗(なおい れいと)

解雇された会社の機材を盗んだことの罪で捕まってしまうが、千舟が雇った弁護士により釈放される。後にクスノキの番人を任される。

柳澤 千舟(やなぎさわ ちふね)

玲斗の伯母。玲斗にクスノキの番人をするよう命じた人物。柳澤グループの顧問をしており、柳澤グループがホテル業界で成功するために誰よりも尽力を注いできた。

佐治 寿明(さじ としあき)

月に2回、クスノキにやってきて祈念をしている。

佐治 優美(さじ ゆうみ)

佐治寿明の娘。寿明がなんの為に祈念しているのかを知りたがっている。

佐治 喜久夫(さじ きくお)

佐治寿明の兄。幼い頃から佐治家の長男として、両親からのプレシャーを背負いながら暮らしていた。現在はすでに他界している。

大場 壮貴(おおば そうき)

たくみや本舗の社長の次男。たくみや本舗・常務取締役の福田と共にクスノキにやってくるが、壮貴は祈念をすることに前向きではなかった。

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こんな人に読んでほしい

心温まるような小説、読後感が爽やかな小説が好きな人

人に伝えたい大切な想いを持っている人

親御関係や家族関係で悩んでいる人

注目ポイント

クスノキの番人と祈念について

柳澤家の敷地内に佇む大きなクスノキは、有名なパワースポットとなっており、それを目当てに訪れる人が後を絶えない。昼間は開放しているため、子供から大人までクスノキを見に訪れることが出来るので、イタズラや落書きの被害を防ぐためや落ち葉の掃除も兼ねて番人として仕事を任されている。

しかし、それは表向きの仕事であり、本当の役割は夜間に祈念をしにやって来る人のサポートや、規律を正しく守りながら祈念されるか見守るために存在する。

祈念について、千舟から玲斗に詳しい説明はなされない。「番人をしていくうちに、いずれは自分でわかってくる」としか千舟は言わない。

玲斗が祈念に来る人や、過去に祈念をした事がある人に、「クスノキで何が行われているのか、祈念とはなんなのか」を尋ねるが、誰も詳しくは教えてくれない。

しかし、佐治優美との出会いから少しずつ祈念について、理解が深まっていくのだった。

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新月と満月

祈念をする人にとっては、新月と満月は大切な期間である。新月と満月は必ず毎月やってくるが、祈念をする人はその日の前後に予約を入れてくる。祈念する人によっては若干異なるが、佐治寿明は必ず満月の日と前日の二日連続で祈念をしに来ている。また、満月の日が晴れていて綺麗な満月が出ていたら、良い祈念ができるとも言われている。

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祈念が出来ない人もいる

たくみや本舗の社長は、息子の大場壮貴に祈念を受けるよう遺言を残し亡くなった。

壮貴は祈念を受けに何度もクスノキに足を運が思うように出来ない。

たくみや本舗という大手企業の跡取りについて、なんらかのメッセージがあると思われる中、父親との関係や会社からのプレッシャーで祈念に前向きでない壮貴を見て、玲斗はある事に気づく。

幼少期から複雑に絡み合う親子の関係で、大人になったいまでも悩み苦しむ壮貴に対して、玲斗が一つのアドバイスをする。

果たして、壮貴は祈念を受ける事ができたのか・・・

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感想

この小説で一番重要なテーマは「想いを伝える」と言う事だと思います。

どうしてもあの人にこの想いを伝えたい。そんなことは生きていれば誰でも一度は思ったことがあると思います。

しかし、環境や自分が置かれた立場によっては、伝えたくても伝えきれない場合もあり、それによって苦しむケースも少なくないと思います。

愛してくれた人への感謝の気持ちやお詫びの気持ちがある人。伝えたい想いがあっても、身体が不自由で伝える事が出来ない人。第三者には決して公言できない重要な事など。

人によって様々に伝えたい想いがあり、その中継役としてクスノキの存在があります。

神秘的でオカルトのような捉え方もできますが、そんな話を信じる人や大切な想いを伝え・受け取りたいと思っている人にはちゃんと届く、そんなファンタジー感の溢れる感動物語でした。

また、玲斗の成長も見どころの一つだと思います。最初は警察に捕まる様な生き方をしていた玲斗が、千舟やクスノキ、様々な人と出会いながら成長していき、結末では人の心を読み取りながら、大切なものを守る姿には、心を打たれる人も多いのではないでしょうか。

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