『支店長、大変です!』地方銀行・支店長の日常を描く人間ドラマ小説

本の紹介

仕事をしていると必ずついてくるのはトラブルです。些細で小さなミスや全国ニュースにまで発展しかねない大きなトラブルまで様々あります。

「小さなミスだから気にしなくてもいい」「解決は後回しでもいい」なんて思っていると、気づいたら後戻りできない一大事に発展しているという経験はないでしょうか。

今回ご紹介するの「支店長、大変です!」は、ある銀行の支店長の日常を描いた小説です。支店長の身にふりかかる沢山のトラブルを、冷静さと愛情で対処していく、心温まる物語になっています。

※ネタバレなしを心がけています。結末や考察は、読者の方ご自身で楽しんで頂きたいと思っておりますので、出来るだけネタバレしないように書いています。ご覧になられた方で、ご期待に沿えない場合があるかもしれませんが、ご理解いただけますと幸いです。

帯の紹介

第25回 日本自費出版文化賞特別賞受賞

「とても面白く楽しんで読んだ。このままオトナ向けの品のいいアニメの原作になりそうな軽みとユーモアがうまく描けている。銀行員もふつうの人々なのだな、と愛おしくなる。」

選考委員:中山千夏氏(作家)

第15回 いわき民報ふるさと出版文化賞特別賞受賞

「人間味ただよう良質な散文を思わせる内容にページめくりが速くなる。読みだすと心が釣り込まれる。」

選考委員長(総評より)

主な登場人物

村上 銀太(むらかみ ぎんた)

地方銀行(地銀)のA銀行に勤めているおり、泉が森支店で支店長をしている。

中館 翔平(なかだて しょうへい)

泉が森支店の営業課長をしている。

荒川 陽子(あらかわ ようこ)

泉が森支店でテラー(窓口業務)をしている。

小野寺 葉月(おのでら はづき)

A銀行に入行したばかりの新入行員。

中山 ひろし(なかやま ひろし)

泉が森支店融資系の係長をしている。

新堂 真人(しんどう まさと)

A銀行のT市幹事店の支店長をしている。

こんな人に読んでほしい

短編小説が好きな人

銀行の業務に関心がある人

家族や友人への愛情物語のある小説が好きな人

注目ポイント

銀行員の仕事

大人になれば、誰もが1度は銀行に行ったことがあると思います。

整理券番号を取った後は、並べられた椅子に座り、「早く自分の番号が呼ばれてほしい」「すぐ終わる用事なんだから長時間待ちたくない」と思いながらボーっとしたり、スマホをいじったりして時間を潰しますよね。

しかし、身近にある銀行の内側ではどんな仕事がされていているのかは、ちゃんと説明できる人は少ないと思います。

この「支店長、大変です!」では、外部の人からは見ることも知ることもない、銀行員の仕事がどんなものなのか、苦悩や遣り甲斐などをわかりやすく描かれています。

今までに銀行で勤めた経験がある人が読むと、共感できる所がたくさんあるのではないでしょうか。

これから銀行の正行員として、またはパートとして働きたいと思っている人にも、仕事内容のイメージがし易く、銀行員の仕事が身近に感じれる小説になっています。

村上銀太の人柄

泉が森支店の支店長を務める村上は、「支店長、大変です!」の言葉と共に、たくさんのトラブルに見舞われます。

支店長として自分がやるべき仕事をこなすことは当たり前とし、部下のミスや仲間の心のフォローまでも、村上が優しく寄り添う事で解決されていく様子は、多忙や時間の無さを理由にやるべき事から目を逸らしてしまいがちな人の心に刺さるのではないでしょうか。

村上が持っている真面目さや優しさが周りの人に伝わることで、「泉が森支店という一国を支える男のために頑張ろう」と思わせるのは、村上の人柄の良さがあっての事だと思います。

温度差で見せる

タイトル(支店長、大変です!)や表紙の絵を見た時に、この小説への第一印象としては「トラブルに振り回される人を描いた小説」「面白おかしく描いた小説」なんだろうなと思っていました。

しかし、実際に読んでみると笑いの要素もありながら、家族や仲間を大切にする愛情溢れる内容になっていました。

もし仮に、銀行員の仕事内容やトラブル解決だけの小説であれば、半分も読み切らずに飽きてしまっていたと思います。

そうではなく、ページをめくるスピードが次第に速くなっていき、最終的には一気読みをしてしまったのは、合間合間に愛情溢れる物語が描かれていたからだと思います。

淡々と必要な仕事をこなす冷静な一面と、心から接する温かい愛情から生まれる「冷と温の温度差」が、読者を魅了させる要因なんだと感じます。

感想

まず私がこの小説と出逢ったのは、作家の高橋健さんに出逢う事が出来たからです。

自費出版されている小説なので通常は書店に並びません。近くの大きな書店で取り寄せ出来ないか尋ねたところ、あっさりと「無理です」と言われてしまいました。

それでも諦めることが出来なかったので、作家の高橋さんにDMで相談したところ、販売してくれる書店を教えて頂き、指定された書店さんから小説を郵送してもらいました。

手元にこの小説が届いた時は、喜びと共に自費出版で本を売る事の大変さも感じました。

高橋健さんは銀行員として働いていた経験があるのでしょうか?それか、相当な取材をしたのか。そう感じるのは、銀行員さんの仕事内容がとても細かく書かれていて、耳にすることもないような専門用語も出てきたからです。

また、家族愛が感じられる物語では、今の私と重なる所もあったので涙ぐシーンもありました。

短編小説で読みやすかったこともあり、個人的には心に残る一冊です。

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