『凪に溺れる』夢と現実に立ち向かい、6人の男女が紡ぐ感動の青春小説

本の紹介

『凪(なぎ)=波や風が穏やかな状態』そんな凪に溺れる。綺麗なタイトル名に惹かれて手に取った小説です。

紹介には青春小説と書かれていてました。青春なんて今の私には無縁であり、過去に置き去ってしまったもの。そんな忘れていた青春を思い出させてくれるんじゃないかと、期待を膨らませながら読まさせて頂きました。

今回ご紹介する小説「凪に溺れる」は、男女6人が夢と現実に立ち向かい、挫折や後悔に悩みながらも、何度も何度も前を向き、淡く切ない、ラストには涙が出る感動の青春小説です。私(けんた)が忘れてしまった青春を見させてもらえた、思い入れ深い一冊です。

※ネタバレなしを心がけています。結末や考察は、読者の方ご自身で楽しんで頂きたいと思っておりますので、出来るだけネタバレしないように書いています。ご覧になられた方で、ご期待に沿えない場合があるかもしれませんが、ご理解いただけますと幸いです。

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内容紹介(裏表紙より)

2019年、無名のアーティストが歌う『凪に溺れる』という曲が、

突如ネット上で拡散され始めた。

その曲は多くの人を魅了するが、後日、公式サイトにて、

ボーカルの霧野十太が一年前に亡くなったことが発表される。

なぜ今になって『凪に溺れる』が注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか。

一人の天才音楽青年と、彼が作った歌を軸に、夢と現実の狭間で藻掻く六人を描いた

著者渾身の青春小説、

主な登場人物

霧野 十太(きりの じゅった)

バンド「the noise of tide」のボーカル。2018年10月23日 逝去 27歳。

河崎 遥(かわさき はるか)

派遣社員として大手企業の受付をしている。

大宮 夏佳(おおみや なつか)

小学生低学年から水泳ばかりしている。父親が銀行員のため転勤族。

関 秋穂(せき あきほ)

大宮夏佳にとって一番仲が良い同級生。クラスの人気者。

小崎 聖来(こざき せいら)

「死にたい」が口癖。人に愛されるのが怖い。

石田 正博(いしだ まさひろ)

バンド「the noise of tide」でギターを担当している。

相場 光莉(あいば ひかり)

フリーライターの仕事をしている。以前までは、河崎遥と同じ会社に勤めていた。

こんな人に読んでほしい

音楽が好きな人

夢と希望に満ちた青春時代に心残りがある人

忘れられない人、大切な人がいる人

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注目ポイント

夢と現実

この小説の特徴の一つに挙げられるのは、物語が過去から現在へと流れ戻る様に描かれていることです。

それぞれの登場人物が、過去に抱いていた夢とその後に待ち受ける苦難と葛藤、そして今の自分がどう生きているのかを、一人の青年・一つの曲を軸にして描かれています。

学生時代に友人と遊ぶことよりも、目指す人に少しでも近づきたくて水泳の自主練に没頭する学生。

「売れるまでは絶対にバンドを辞めない!」と音楽作りに一生懸命に向き合うバンドマン。

愛されることを願っても、満たされない事に気づき苦しくなる学生。

様々な夢や想いを抱く中で挫折や貫徹を経験した後に、今の自分の生き方をどう思うのか。過去の自分が下した判断は果たして正しかったのか。

そんなことを男女6人の視点から、淡く切なくほろ苦く描かれています。

そして、すべての人に共通して言えることは、天才音楽青年・霧野十太という人物と、「凪に溺れる」という曲に心を惹かれているということ。一人の青年一つの曲で繋がった人々は、なぜ過去を追うのだろうか。

『一緒にいられますように』

学生時代におまじないが流行っていました。それは神社で同じお願いを3回目にした人の願いが叶うというもの。ただし、1回目と2回目にお願いをした人の願いは叶わないのです。

それを聞いた学生はお願い事をします。「十太と一緒にいられますように」

霧野十太が奏でる音楽と曲を聴いた人は必ずもう一度聴きたくなり、彼と時間を共に過ごした人は、ずっと彼と時間を過ごして行きたいと願うのです。

しかし、十太は2018年・27歳の若さでこの世を去ります。

では、3回目に願った人の願いは叶うのでしょうか。

『凪に溺れる』が淡くほろ苦い青春小説でもありながら、切なく涙溢れる小説なのはここに秘密があります。

凪(なぎ)

霧野十太はいつも遠い目でなにかを見ています。バンドのライブをしている時も観客を見ている訳ではなく、その先にある何かを焦点の合わない目で見ていたり、彼と話していても目線が合わず心の中が読めない、そして感情の起伏が穏やかで「心が凪いている」そんな人物です。

しかし、それこそが十太の魅力であり多くの人が惹かれている要素でもあるのです。

十太と出会い音楽を聴くことで、彼の心にある「凪」が聴く人にまで伝わるのです。聴いた人々は疲弊した体が、現実に嫌気がさした心が「凪」に揺られることで非現実世界に引き込まれていきます。

そして、十太の魅力に「溺れて」いくのです。

感想

読み終わった後は泣いていました。

いい意味で「青春小説」という言葉に騙された感じです。切なく悲しいラストに加え、前向きに背中を押される終わり方に心を打たれます。

ネタバレ防止のため詳しい結末は伏せますが、3度目のお願いが形を変えて叶う事が出来て良かったなと思いました。

夢と現実、後悔と成就、挫折や貫徹。ほろ苦い恋物語。それらを丁寧に描かれた感動の小説を、是非とも一度は読んでみてください。

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